2020年度
「ソーシャル・デザイン・プロジェクトB」

実践女子大学・人間社会学部(2年)

本授業は、ソーシャル・デザインの考え方、手法・スキルを身につけ、自ら実践できるようになることを目指したプロジェクト学習(PBL, Project based learning)型授業です。

授業概要

目指すは「課題発見力/課題設定力」と「協働力」の涵養

本授業では、現代社会を取り巻くさまざまな社会的イシューを出発点にしつつ、自分たちの身近な問題へと引き寄せた「ミニ・ソーシャル・デザイン」にチームで挑戦します。

本授業では「ソーシャルデザイン」を以下のようにとらえています。

人間の持つ「創造」の力で、社会が抱える複雑な課題の解決に挑む活動
(筧 2013: 12)

社会が抱える複雑で全貌の見えない課題の森を探り、課題を整理しながら自分たちでいかに問題を定義し、その解決をデザインするか——その課題設定力の涵養が本授業の大きな目標の一つです。そのため本授業を履修する学生は、与えられたお題に取り組むのではなく、自分たちのなかにある問題意識を出発点にプロジェクトを開始します。

プロジェクトが進むごとに明らかになってくるさまざまな側面や状況の変化に、チームで柔軟に対応していかなければならないのも本授業の大きな特徴の一つです。そうした一連のプロセスを通して、チームでものごとに取り組む協働力を涵養することも本授業の目標の一つです。

2020年度(前期)

COVID-19感染拡大防止のための緊急事態宣言下で始まった2020年度の本授業では、やはり履修学生の「気になる」もCOVID-19関連のニュースに集中しました。そこで授業全体としては「長期化するCOVID-19 pandemic: 感染拡大防止と日常をどう両立する?」を共通テーマとして掲げつつ、それぞれ関心が近い学生5名でチームを組み、各チームが自分たちでよりフォーカスした問題を定義していきました。

各チームが最終的に設定したテーマ

(画像をクリック/タップすると全体をみることができます)

授業スケジュール

デザイン思考のスキームを使いながら、自分たちで定義した問題に対する解決のアイデアを何度も練り直していきました。 最終発表会では各チームがZoomで発表を行い、学生が選んだテーマに詳しい外部ゲストからコメント&講評いただきました。その後最終回では、チームごと&授業全体での振り返りとまとめを行いました。

おおまかな授業スケジュールは以下の通りです。
※これ以外に適宜、授業外でのグループ活動が発生しています。

(画像をクリック/タップすると全体をみることができます)

本授業で行ったワークなど

2020年度はCOVID-19対応によりすべてオンライン(Zoom/slack/miro等)で実施しました。

オンライングループワークの練習

  • 自己紹介アイスブレイク
  • Zoomホワイトボードでチーム紹介ボードの作成
  • バーチャル観察/観察シート作成
  • 先行文献・統計データ共有シート作成

社会課題を大きくつかむ

  • チームで観察シート&データ共有シートを読む
  • イシューマップを作成する
    • システム思考マップ
    • Why-How Laddering
    • ステークホルダーマップ
    • ジャーニーマップ

「自分ごと」にする: 問題定義

  • プロジェクトイシュー候補の書き出し
    • (誰々)に(何々)してもらうためには何が可能か?
  • 社会課題の森の中の人の視点での検証
    • ペルソナ作成
    • 共感マップ
  • 自分たち視点での検証
    • 必要な情報・リソースへのアクセシビリティは?
    • そのプロジェクトをやりたいと本当に思うか?
  • プロジェクトイシューの決定(宣言文の作成)

アイデア創出

  • ブレインストーミング(How Might We...?)
  • アイデアの整理: 親和図法
  • コンセプト創出: KJ法(川喜田 1970)※ 親和図法ではないことに注意!

アイデア選択

  • 可能性を残すためのアイデア選択(複数視点での評価)
  • エレベーターピッチ(NABC)
  • ハットルールによるフィードバック

プロトタイピング

  • ラピッド・プロトタイピング
  • (擬似)ユーザーテスト

プレゼンテーション&相互評価

  • 最終発表会
  • 相互評価

まとめ&リフレクション

  • チーム内振り返り(Keep/Problem/Try)
  • 振り返りの共有

おもな参考文献

  • 筧 裕介(2013)『ソーシャルデザイン実践ガイド——地域の課題を解決する7つのステップ』英治出版
  • 川喜田 二郎(1970)『続・発想法―KJ法の展開と応用』中公新書
  • Stanford d.school "Design Thinking Bootleg"

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